女性の活躍推進は日本の持続的成長のために不可欠であり、日本としての最重要課題の一つとされています。女性が企業の意思決定に関わることは、多様な価値観が企業の経営に反映されるとともに、多様な価値観を受容する組織ではイノベーションが促進され、企業競争力や社会的評価が向上し、企業価値の向上にもつながります。
平成25年4月には、安倍総理大臣から経済界に対し、「2020年30%の政府目標の達成に向けて、全上場企業において積極的に役員・管理職に女性と登用していただきたい。まずは、役員に一人は女性を登用していただきたい。」と要請を行いました。
2012年から2018年の6年間で、上場企業の女性役員数は約2.7倍に増え、着実に成果が上がってはいるものの、その割合は、依然として4.1%(2018年)と低く、諸外国の女性役員割合と比較しても低い水準にとどまっています。
上場企業における女性役員の状況
- ESG投資
資本市場では、世界的な潮流として、非財務情報であるESG(環境・社会・ガバナンス)情報を投資判断に組み込み長期的な投資リターンの向上を目指す、いわゆるESG投資が拡大しています。また、女性取締役を1人以上有する企業の方が、女性取締役を1人も有しない企業に比べ株式パフォーマンスがよいとの調査もあり、資本市場において、女性の活躍に積極的な企業が評価される動きも広まっています。
( 内閣府男女共同参画局サイトより)
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上記状況を踏まえ、 内閣府男女共同参画局では「ESG投資における女性活躍情報の活用状況に関する調査研究」を実施し、機関投資家等の視点から、ESG投資、中でも従業員に関する「S」と取締役会等のガバナンスに関する「G」を考慮した投資についての考え方をとりまとめました。
( 内閣府男女共同参画局サイトより)
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- 上場企業の女性役員数について
2012年から2018年の6年間で、上場企業の女性役員数は約2.7倍に増え、着実に成果が上がってはいるものの、その割合は、依然として4.1%(2018年)と低く、諸外国の女性役員割合と比較しても低い水準にとどまっています。
( 内閣府男女共同参画局サイトより)
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( 内閣府男女共同参画局サイトより)
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こうした状況の中、資本市場において、ESG(環境・社会・ガバナンス)情報を投資判断に組み込み、長期的な投資リターンの向上を目指す、いわゆるESG投資が世界的に拡大しており、我が国においても、社会・ガバナンスの観点から女性活躍推進企業が評価される動きが加速しています。
日本及び諸外国における女性の参画状況等
- 政治分野
( 内閣府男女共同参画局サイトより)
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- 雇用分野
( 内閣府男女共同参画局サイトより)
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- 科学技術・学術分野
( 内閣府男女共同参画局サイトより)
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日本の国会議員に占める女性割合は上昇傾向にあるものの、先進諸外国との格差は大きい。雇用分野は、就業者に占める女性割合に比べ、管理的職業従事者に占める女性割合は国際的にみても低い。科学技術・学術分野も研究者に占める女性の割合は、他の先進諸国と比べても低い
女性活躍の推進が企業の成長につながる4つのポイント
- 1.イノベーション
これまで男性しかいなかった職種に女性 を登用し、誰が入っても誰が作っても同じ ような品質を担保できたりするようなラ インの見直しが行われるという例もある。
女性が入ることによって企業がもう一段 高い所に行くきっかけが生まれる。
- 2.働き方改革による生産性向上
女性活躍と働き方改革は、非常に結びつ きが大きい。また、人口減少の問題もかか わってくる。それらの課題のリンケージを 増やし、総合的に課題を解決していく必
要がある。
- 3.人材の確保(採用、リテンション対策)
ダイバーシティを促進すると、それを実現 できるような職場という評判が立ってく る。それによって従業員のモチベーション や企業に対する忠誠心のようなものが上
がり、多様な人材、特に優秀な人材を引き 付けるような力が高まってくる。
- 4.ダイバーシティによるリスク低減
ある会社が出した広告に、女性にとって 望ましくない表現があったが、女性側か ら見たら違和感を覚えやすかったと思わ れる。世に出る前に早く気が付くことがで
きたのではないか。意思決定や判断にま で多様性が浸透していることが重要。
機関投資家は、定性的な説明に加えて、女性取締役比率や女性管理職比率などの各種の定量データを参照しています。参考にしている企業の報告書としては、有価証券報
告書のみならず、アニュアルレポート(統合報告書)やサス テナビリティレポート、CSR報告書など、さまざまな報告書 があげられていますが、企業価値創造プロセスを理解する
ため、普段、投資家が読んでいるアニュアルレポート(統合 報告書)を参考にしている割合が一番高くなっています。
上場企業の業種別女性役員比率
- 東京商工リサーチは2018年3月期決算の上場企業2375社の役員を対象に「女性役員比率」を調査した結果によると、女性役員は、役員全体のわずか3.8%。また約6割にあたる1563社はまだ女性役員が一人もいないことが分かった。
( 東京商工リサーチ 調査 )
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業種別では、サービス業が6.1%で最高だった。次いで、小売業6.0%、金融・保険業5.7%と続き、最低は建設業の2.1%だった。依然として業種間のバラツキがみられる。
ダイバーシティと働き方に関するアンケート調査より
- 公益社団法人経済同友会によるダイバーシティと働き方に関するアンケート調査(2016年)から、以下の点が浮き彫りになった。
- 女性の登用・活用の経営指針や経営計画等における明示について、64%(前年54%)の企業が明示しており、27%(同32%)の企業が今後の対応を検討している。
- 女性の登用・活用を推進する組織の設置について、63%(前年55%)の企業が既に設置しており、設置率は年々上昇している。
- 女性役員・管理職の登用について、女性の登用は管理職7.5%(前年6.3%)、意思決定ボード4.1%(同3.4%)と上昇傾向が見られる。取締役4.4%(前年2.7%)、執行役/執行役員5.1%(同3.4%)など、社内トップレベルの役職への登用が進んでいることが分かる。
- 女性管理職登用の具体的数値目標の設定や公表について、約半数(49%)の企業が数値目標を設定しており、2013年(24%)に比べてほぼ倍増している。
- 女性の登用・活用に向けた課題について、女性のロールモデルの少なさ、女性の採用数・管理職候補者の少なさが、依然として、主要課題となっている。加えて、長時間労働が常態化し、多様かつ柔軟な働き方が選択できていない、女性自身のキャリアに対する自覚・責任感の未醸成等も課題となる。
- 女性の登用・活用に向けた効果的な施策について、効果的な施策として、「職務の明確化、男女差のない公正な評価・処遇制度を確立し実行する」「女性の採用及び職域を拡大する」等が挙げられている。
アンケート対象は、創業45年以上の大企業中心に、189件の回答。(上場企業65%、創業45年以上68%、従業員数1,000人以上74%。業種別では、製造業36%、非製造業64%。)。海外売上高比率や外国人持ち株比率が低く、国内市場中心の企業が多い。
業種別女性社内役員人材と女性社外役員人材の活用
- 下図は、業種別の女性社内取締役・監査役・執行役(以下、女性社内取締役等)がいる企業の比率(縦軸)と女性社外取締役・監査役(以下、女性社外取締役等)がいる企業の比率(横軸)を、全業種平均を基準に
4 象限に分類して見たものである。
( 業種別の女性社内/社外取締役・監査役、執行役のいる企業の比率 )
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- 「保険」「空運」「水産」「小売業」「通信」「医薬品」などは、女性社外取締役等がいる企業比率も女性社内取締役等がいる企業比率も両方が業種平均を上回っている。
- それら業種に加えて「サービス」や「不動産」は女性社外取締役等のいる企業比率が業種平均をやや下回ってはいるものの、女性社内取締役等のいる企業比率は業種平均よりも比較的高い。
- 一方、「電力」「石油」「銀行」「鉄道・バス」「自動車」「輸送用機器」は女性社内取締役等がいる企業比率が低い、あるいはゼロであるが、女性社外取締役等がいる企業比率が業種平均を上回っている。これらの業種では、女性役員の登用を外部人材の活用によって行ってきている傾向が強い。
- 「造船」や「鉄鋼」は女性社外取締役等がいる企業比率も、女性社内取締役等がいる企業比率も、両方が業種平均を下回っている。これらの業種では、これまでの女性採用比率が低かったことや役員候補となる女性人材のプールが小さいことなどを背景に、内部昇進による女性役員の登用が少ないと推察される。
内閣府(2017)は、「企業内で女性が活躍、昇進し、社内役員へと登用されることは、企業内で働く全ての女性のモチベーションの向上にもつながることであ
り(中略)短期的、長期的に取り組むべき対応策を企業に強く求めたい」と述べると同時に、「女性の社外役員としての登用を強く促進する取組を行うことは極めて有効と考えられ、また、取締役会の構成に多様性をもたらすという観点からも喫緊に求められる取組である」とも述べ、両方の取組みを求めている。
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参考・引用
・女性役員情報サイト(gender.go.jp)
・ ESG投資における女性活躍情報の活用状況に関する調査研究(gender.go.jp)
・ ポジティブ・アクション(gender.go.jp)
・ 2018年3月期決算 上場企業2,375社「女性役員比率」調査(tsr-net.co.jp)
・ ダイバーシティと働き方に関するアンケート調査結果 (doyukai.or.jp)
・ 内部昇進の女性役員が多い業種はどこか (dir.co.jp)