医薬情報担当者(Medical Representative、MR)とは、医薬品の適正使用のため医療従事者を訪問することなどにより、医薬品の品質、有効性、安全性などに関する情報の提供、収集、伝達を主な業務として行う者のことを指します。
多くのMRは製薬会社に所属し、自社の医療用医薬品情報(品質、有効性、安全性など)を医師をはじめとする医療従事者に提供し、実際に使用された医薬品の副作用情報を収集し製薬会社にフィードバックすることを主な業務としています。
製薬業界における、医療従事者相手の営業職にあたります。ただし他業界の営業職とは異なり、営業活動の中心は医薬情報の提供や、集めた副作用情報のフィードバックが主であり、医薬品の販売促進活動ではない。薬の誤った使い方によって人の命や健康が奪われる事がないよう正しく使用されているか医師に確認したり、膨大な薬の副作用や適応症の情報を医療現場に伝える。一方、情報提供をしながら集めた副作用情報を既存の医薬品の改良や新薬の開発に反映させる役割を持っています。
医療情報担当者(MR)の仕事
- 医薬情報担当者は主に製薬会社に所属し、自社製品を通して医療現場と製薬メーカーをつなぐ仕事をしています。具体的な仕事の内容は次のようなものがあります。
- 自社商品の副作用や適性使用に関する情報を、医師や薬剤師などの医療従事者に提供します。
- 新製品の活用法を医療機関に勤めるスタッフたちに説明し、内容紹介を行います。
- 実際に使った医薬品に関する安全性や有効性に関する情報を、病院や薬局などの現場から収集します。新薬を開発した製薬企業は、市場後調査(販売が承認された医薬品が市場に出回ってから、原則として6年間実施する調査)を行い、安全性や副作用についての情報を収集することが義務付けられています。この市場後調査において、MR職が大きな役割を果たしています。
- 医薬品に関して医療施設から得られた情報を自社に報告し、結果を正確にまとめて医療施設へフィードバックします。
- 商品の特徴や類似商品との違いなどについて医師や薬剤師から尋ねられた時は、正確に答えます。医療従事者の疑問に即時返答することができるように、普段から関連するデータや専門知識、製薬業界・医療業界の動向などの情報を収集しておく必要があります。
医薬情報担当者は他の業界の営業活動とは異なり、原則的には、自社製品の販売促進行為を行いません。患者の命を左右する医薬品を扱う仕事として、高い倫理観を持って、正確な情報の提供と収集を行う活動を行います。
医療情報担当者(MR)になるには
- 医薬品の情報を取り扱うスペシャリストであるMRは、医薬品を処方する薬剤師と似ている職業だと考える人もいるかもしれませんが、実際は大きく異なります。
- 薬剤師は大学の薬学部を卒業することや薬剤師の国家試験に合格することが必須条件になっていますが、MRの場合は特に学歴や国家資格が必要なわけではありません。
- 文系学部の出身者も多く活躍している世界です。学部に関係なく、製薬会社などの就職試験に応募し、採用されることでMRとして働くことができるようになります。
- 公益財団法人であるMR認定センターが主催している「MR認定試験」という試験があり、この試験に合格することがMRとしての知識を習得している証となります。
- 認定証を取得しなければMRとして働いてはいけないというわけではないのですが、実際はほとんどの人がこの認定証を取得してから仕事をしています。「MR認定証」の取得は、医療従事者からの信頼を得るための重要なものになります。
- MR認定試験
- MR認定試験とは、製薬企業やCSOで行われるMR導入教育の成果を客観的に評価するための試験で、医薬情報担当者教育センター(MR教育センター)主催の元、毎年12月に行われます。
- MR認定試験に合格すると、MR認定証が発行される。MR認定証の期限は5年間のため、5年が過ぎると更新のための継続手続きが必要です。
- MR認定試験の受験科目:・疾病と治療・薬理学・薬剤学・医薬概論・PMS(市販後調査)・添付文書
認定証を取得しなければMRとして働いてはいけないというわけではないのですが、実際はほとんどの人がこの認定証を取得してから仕事をしています。新人の場合はまず半年以上かけて研修を受け、猛勉強をしてこの認定試験に合格し、徐々に実務経験を積んで一人前をめざすというのが一般的なステップアップの流れになります。
医療情報担当者(MR)の年収データ
- MRの平均年収
MRの平均年収(クリックして拡大)
(MR BiZ調べ)
- MRの年代別・年収額の分布 20代
MRの年代別・年収額の分布 20代(クリックして拡大)
(MR BiZ調べ)
- MRの年代別・年収額の分布 30代
MRの年代別・年収額の分布 30代(クリックして拡大)
(MR BiZ調べ)
- MRの年代別・年収額の分布 40代
MRの年代別・年収額の分布 40代(クリックして拡大)
(MR BiZ調べ)
MRの年収範囲は350万円~1500万円です。初年度の年収(社会人1年目)は350万円前後、管理職でないMRの年収上限は1200万円程度、管理職クラスの年収上限は1500万円程度が相場です。
ただし企業によって昇給のペースや上限額、給与の制度が異なるため、ある程度の個人差は生じます。
MS(マーケティング・スペシャリスト)
- 医薬品卸売会社の営業担当者はMS(マーケティング・スペシャリスト)と呼ばれています。
- MSの主な役割は、製薬企業から仕入れた医薬品や医療材料、医療機器などの多岐に渡る商品を、 医療機関や調剤薬局に安定的に供給することです。
- 単に医薬品を販売するだけでなく、 薬の効能・効果や医療制度、季節性の疾患(インフルエンザ、花粉症等)の流行状況などの 「情報提供」活動も行います。
- 情報提供という点では一見MRの仕事と似ていますが、 様々なメーカーの商品の中からより最適な医薬品を患者さまのために提案できる仕事です。
- またMSは医療機関・調剤薬局と価格交渉を行うため、利益を確保するための意識が大変重要になります。
MSは日頃の営業活動で得た医薬品に関する情報や医師・薬剤師からの要望をMRにフィードバックし、必要に応じて同行訪問を行います。 一方MRは新製品の情報提供をはじめ、MSの営業活動に必要な製品知識を提供します。
医療機関に対して共同で勉強会を開催するなど、MSとMRは医薬品を適正に使用して いただくために日頃から情報交換を行いながら、お互いの役割を果たすために協力し合う大切なパートナーです。
コントラクトMR
- コントラクトMRとは、CSOに所属するMRのことです。コントラクトMRは、製薬会社に派遣され、その製薬会社の社員と同じように営業活動を行います。
- CSO(Contract Sales Organization:医薬品販売業務受託機関)は、製薬会社にMRを派遣したり、医薬品の営業・マーケティング活動のアウトソーシングサービスを提供したりする企業のことです。
- CSOで働く魅力は、何と言っても、担当プロジェクトに応じて、複数の製薬会社で働くことができることです。
- 派遣という形をとってはいるものの、雇用形態はCSOに所属する正社員で、いわゆる一般派遣スタッフとは異なります。
- CSOは、製薬会社の販売・マーケティング戦略を実現するためのビジネスパートナーであり、コントラクトMRには、戦略的パートナーとして重要な役割が求められています。
全MRに占めるコントラクトMRの比率は、イギリスで約30%、フランスで約20%、アメリカで約10%といわれているのに対して、日本では2014年で約6%ですが、2010年には3.9%でしたので着実に増加しているといえます。
日本でもコントラクトMRの比率は高まっていく可能性が高いと考えられます。PMS業務をCSOに委託することで自社MRの負担を軽くしてMR業務に専念させるという方針の製薬会社も増えてきています。
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参考・引用
・医薬情報担当者(ja.wikipedia.org)
・医薬情報担当者になるには?業務内容や年収、関連資格について(hop-job.com)
・MR認定試験(answers.ten-navi.com)
・MRの仕事(careergarden.jp)
・2018年版MR白書(mre.or.jp)
・MRの年収(mr.ten-navi.com)
・MSとMRの違い(tohoyk.co.jp)
・コントラクトMRとは?(elite-network.co.jp)