中小企業診断士は、経営コンサルタントとして唯一の国家資格で「日本版MBA」ともいわれています。 業界・職種に共通して当てはまる、“企業が売上を伸ばし、コストを削減し、利益を上げる”ための適切な提案をするのが仕事で、社会的に高く評価されています。全国の会社数は350万社以上(そのうち9割以上は中小企業)に対し、中小企業診断士の数はわずか26,000名程度。人材不足の状況で活躍の場は大きく開けているといえるでしょう。
中小企業診断士とは
- 中小企業の経営上の問題点分析や助言を行い、課題解決に導く経営コンサルタントの一種。
- 中小企業診断士は、中小企業のクライアントに対し、経営面についての相談に乗ったり、それぞれが抱える問題点を分析して課題解決の手助けを行う仕事です。
- いわゆる経営コンサルタントの一種であり、国が認めた唯一の経営コンサルタントの国家資格となっています。
- 中小企業診断士は、大きく分けると企業に勤めている人と、独立して働く人の2種類があります。
- 社会人としてある程度キャリアがあり、ビジネスに関する知識を積んだ人がこの職に就くことも多いようです。
- 中小企業を対象として、経営面についての相談に乗ったり、それぞれが抱える問題点を分析して課題解決の手助けをしたりします。
- 中小企業診断士は、独占業務のない「名称独占資格」と呼ばれる種類の資格であり、この資格がなくても、経営などに関するアドバイス業務自体を行うことは可能です。ただし、資格がなければ中小企業診断士と名乗ることはできませんし、国が認めた唯一の経営コンサルタントの国家資格ですので、資格取得することで自身の能力を客観的に証明することができます。
- 中小企業診断士には「企業内診断士」と「独立診断士」の2種類に分類することができ、それぞれに活躍の場は異なります。
- 企業内診断士は、他のサラリーマンと同じように企業に勤めて、自社の経営診断を専属的に行います。
- 独立診断士は、どこかの組織に属さず、複数の企業とコンサルタント契約を締結して、それぞれの経営診断にあたります。
日本の中小企業数は非常に多く、製造業や小売業、サービス業など、各企業の属する業界や事業内容は多岐にわたります。 このため、特定の業界や業態に限定されることなく、ありとあらゆる企業の経営支援に携わることができる点は、中小企業診断士の仕事の魅力といえます。
中小企業診断士の資格について
- 中小企業診断士になるには
- 一般社団法人 中小企業診断協会が認定する国家試験(中小企業診断士試験)に合格しなければ、中小企業診断士にはなれません。
- 中小企業診断士になるまでには、1次試験、2次(筆記・口述)試験、実務補習・実務従事の3段階のステップがあります。
- 受験資格
- 1次試験(全科目を3年以内に7科目に合格すれば第1次試験合格となります。):制限なし
- 以下に該当する者は、一次試験の一部科目が免除になります。
- 大学等の経済学の教授・助教授(通算3年以上)
- 経済学博士
- 公認会計士試験第ニ次試験において経済学を受験して合格した者。
- 不動産鑑定士、不動産鑑定士補(二次試験合格者を含む)
- 公認会計士、会計士補(会計士補となる有資格者を含む)
- 税理士(税理士法第3条1項1号から第3号までに規定する者を含む)
- 税理士(司法試験二次試験合格者を含む)
- 技術士(情報工学部門登録者に限る)、情報工学部門による技術士となる資格を有する者。
- 以下の区分情報処理技術者試験合格者。
- ITストラテジスト/システムアーキテクト/応用情報技術者/システムアナリスト/アプリケーションエンジニア/システム監査技術者/プロジェクトマネージャ/ソフトウェア開発技術者/第1種情報処理技術者/情報処理システム監査/特種情報処理技術者試験
- 2次試験:第1次試験合格者
- 試験内容
- 1次試験(全科目を3年以内に7科目に合格すれば第1次試験合格となります。)
- 1.経済学・経済政策
- 2.財務・会計
- 3.企業経営理論
- 4.運営管理(オペレーション・マネジメント)
- 5.経営法務
- 6.経営情報システム
- 7.中小企業経営・中小企業政策
- 2次試験
- 1.中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅰ
- 2.中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅱ
- 3.中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅲ
- 4.中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅳ
- 口述試験:中小企業の診断及び助言に関する能力
- 実務・実務補習
登録申請の日前3年以内に、中小企業診断士試験に合格し、かつ、以下に該当することについて、2次試験合格後、3年以内に15日間又は8日間×2回の実務補習を行う。
- 実務補習
登録実務補習機関による実務補習
中小企業基盤整備機構、都道府県等中小企業支援センターにおける実務補習
- 診断・助言業務
国・都道府県等、中小企業基盤整備機構又は都道府県等中小企業支援センターが行う診断・助言業務
中小企業基盤整備機構又は都道府県等支援センターが行う窓口相談などの業務
中小企業に関する団体が行う中小企業の診断・助言又は窓口相談などの業務その他の団体又は個人が行う診断・助言又は窓口相談の業務
中小企業の振興に関する国際協力などのための海外における業務
- 合格基準
- 1次試験
総点数の60%以上の得点率で、かつ1科目でも満点の40%未満のないこと。また、科目合格については、満点の60%以上の得点率で合格となります。
- 2次試験
総点数の60%以上の得点率で、かつ1科目でも満点の40%未満のないこと。また、口述試験については、評定が60%以上の得点率で合格となります。
- 免除(科目等)について
- 前々年度及び前年度に合格した科目は免除されます。
- 他資格等保有による免除※があります。
- 済学・経済政策が免除
大学等の経済学の教授、准教授・旧助教授(通算3年以上)
経済学博士、公認会計士試験または旧公認会計士試験第2次試験において経済学を受験して合格した者
不動産鑑定士、不動産鑑定士試験合格者、不動産鑑定士補、旧不動産鑑定士試験第2次試験合格者
- 財務・会計が免除
公認会計士、公認会計士試験合格者、会計士補、会計士補となる有資格者
税理士、税理士法第3条第1項第1号に規定する者(税理士試験合格者)、税理士法第3条第1項第2号に規定する者(税理士試験免除者)、税理士法第3条第1項第3号に規定する者(弁護士または弁護士となる資格を有する者)
- 経営法務が免除
弁護士、司法試験合格者、旧司法試験第2次試験合格者
- 経営情報システムが免除
技術士(情報工学部門登録者に限る)、情報工学部門に係る技術士となる資格を有する者
IT ストラテジスト、システムアーキテクト、応用情報技術者、システムアナリスト、アプリケーションエンジニア、システム監査、プロジェクトマネージャ、ソフトウェア開発、第1種、情報処理システム監査、特種の合格者
- 合格後の更新について
- 中小企業診断士は資格を維持するために5年ごとに資格の更新登録を行う必要があります。更新登録をするには有効期間内に
(1) 「知識の補充」に関する要件(5年間で5回以上)
(2) 「実務の従事」に関する要件(5年間で30点以上/30日以上コンサル業務を行う必要有り)
の両方の要件を満たし、なおかつ経済産業大臣に更新の申請をする必要があります。(診断協会に入会しなくても診断士は名乗れ、資格更新も可能。)
(1)(2)双方の更新ができない場合は休止申請することができますが、その期間においては診断士を名乗ることはできません。
休止期間は15年でその期間内に業務再開申請を行えば診断士を名乗ることができます。
中小企業診断士の業務内容
- 公的業務
- 公的業務とは、国や地方自治体の行政機関、中小企業基盤整備機構、都道府県等中小企業支援センター、商工会議所・商工会などの公的機関から委託されて業務を行うものです。
- 業務の内容は、「窓口相談」や「専門家派遣」が多いでしょう。
- 中小企業の経営者や起業家向けに相談窓口が設けられています。「窓口相談」は、このような相談窓口で経営相談員として相談にあたる業務です。
- 週に1日や2日というように定期的に公的機関に出社(出社という表現は適切ではないかもしれませんが)して、窓口に座って相談に対処します。
- 背景や経緯をヒアリングしながら、課題を明確にして助言を行います。
- 「専門家派遣」は、中小企業診断士などの専門家が企業を訪問して支援を行うものです。
- 上記の公的機関には、専門家を派遣する制度を設けているところが多く、それぞれの制度によって、「3回まで無料で派遣します」など、回数や費用負担が定められています。
- 「専門家派遣」の業務では、中小企業診断士は、公的機関に専門家として登録を行って、案件があれば、申し込んだ中小企業を訪問して支援を行います。
- 基本的には、あるテーマで相談があった場合、そのテーマに詳しい専門家に依頼が来ます。
- 民間業務
- 民間業務とは、コンサルタント(法人もしくは個人)が中小企業と契約してコンサルティング業務を行うことをいいます。
- 経営コンサルティング業務
中小企業診断士の仕事はいわゆる経営コンサルタントの一種です。中小企業を対象に経営面の相談に乗るなどのコンサルティング業務を主としています。
- 民間企業と行政をつなぐ橋渡し
中小企業診断士の大切な仕事の一つに民間企業と行政をつなぐ橋渡しをすることが挙げられます。民間企業の経営上の悩みは日々つきません。その相談に乗り、必要であれば行政に繋いでいくことも中小企業診断士の大切な仕事です。
- 講師としてセミナーに登壇
中小企業診断士としての実績がかわれると、経営コンサルタントとして講師を依頼され、セミナーに登壇する機会も増えてきます。企業向けや一般人向けに経営に関わる知識の話をすることも中小企業診断士の大切な仕事です。
現代のビジネス事情は日々変化し続けています。その中で自分が労働者の側であったとしても経営側の視点の知識を学ぶことは大変意義深いものです。 中小企業診断士は国が認めた唯一の経営コンサルタントの国家資格であり、企業を経営しているクライアントに対して経営面についての相談に乗ることができます。
それぞれの企業が抱える問題を企業側との面談を通して見つけ出し、その問題点を分析、課題解決の手助けをするのが仕事です。
中小企業診断士の将来性
- 中小企業診断士は合格率4%の難関資格であり、取得までには1000時間を超える勉強が必要とされるため、今まで資格保有者であること自体が企業内で大きく評価されてきました。
- しかし、企業内での評価に比べて社会的な認知度はいまだに高くはないという現状があるようですが、ここ数年で社会的な認知度・評価ともに急上昇してきています。
- 中小企業診断士の資格を持っていることは、管理職や経営幹部になるために必要な能力である「マネジメント能力」を持っていることの証明になると考えられています。
- 「中小企業診断士」資格は、昇進・昇給に直結する”コストパフォーマンスが良い資格”とされています。
- 中小企業診断士はAIが登場した未来でも機械や人工知能に仕事を奪われることがなく、非常に将来性があると言われています。
- 時代やその時々状況に応じた柔軟な経営戦略の提案をすることができるとされていることが評価されています。
- AI時代も最前線で活躍する中小企業診断士に必要な能力は「対話能力」と「概念化能力」の2つだと言われています。
「対話能力」と「概念化能力」を兼ね備えた中小企業診断士であれば、将来性は明るい。社員やビジネスパートナーを説得したり、クライアントが抱える悩みや不安を感じ取り、潜在的な需要を把握するための「コミュニケーション能力」。
物事を抽象的に考えてまとめあげ、本質を見抜く「概念化能力」を実践の場で築いていくことが求められます。
サーチファーム・ジャパンのサービス
サーチファーム・ジャパンでは、「中小企業診断士エキスパート」エグゼクティブサーチ・ヘッドハンティング・採用支援において、確かな実績と支援体制がございます。
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- 03-3221-3481
参考・引用
・中小企業診断士とは(u-can.co.jp)
・中小企業診断士の仕事(careergarden.jp)
・データでみる中小企業診断士(j-smeca.jp)
・中小企業診断士の「公的業務」は何があるの?(studying.jp)
・中小企業診断士ってどんな仕事?業務内容や年収・将来性まで徹底解説(shikakutimes.jp)