内部統制を理解する
内部統制の4つの目的
目的1 : 業務の有効性及び効率性
企業には、事業活動の目的があります。この目的を達成するために、より有効な方法で、より効率よく業務を遂行していかなければなりません。 この事業活動の有効性、効率性を高めるためには、内部統制の導入が、大切な手段のひとつとなります。
業務の有効性に対する例としては、顧客情報のデータベース化、費用対効果の向上、製品情報の共有化などが挙げられます。 また、効率性に対する例としては、業務プロセスの短縮、コストの削減、従業員の意識改革などがあげられます。
このような例を見ると、社内の管理が厳しくなったり、手続きが多くなったりと、手間が増えたと感じる方や、臨機応変な対応が困難になったと感じる方がいるかもしれません。
しかし、中長期的な視点で見れば、内部統制は事業活動の透明性、安全性の確保、業務の標準化につながり、業務の有効性や効率性をより高めていることに気付くはずです。
また、社員のノウハウや勘、経験に頼ってきた業務に関しても整備され、単独で進めなければならなかった業務も分掌し、全体の業務として効率よく機能させることも可能となります。
目的2 : 財務報告の信頼性
日本版SOX法において、経営者に評価が求められているのは、財務報告の信頼性を確保する内部統制だけとなります。
そして、公開される財務情報に内部統制の評価結果を加えることによって、財務情報の信頼性を確保します。
企業の財務情報は、投資家や株主だけでなく銀行などが企業の活動状況や業績を判断する上で、非常に重要な役割を果たします。
なぜならば、この財務情報をもとに、どのくらいの投資をするか、どのくらいの融資をするかを決定するからです。 もしも財務情報に虚偽の記載があり、その事実が明確になると、投資家や銀行は多大な損失を被ってしまいます。
それゆえ、財務情報に不正・虚偽の事実がないことを証明できれば、逆に企業の信頼性を向上させることができます。
そのためには、財務諸表に関わる業務内容、作業手順、プロセスなどを明確にする内部統制を導入することによって、財務情報が正しく作成されていることを証明する必要があるのです。
目的3 : 事業活動に関わる法令などの遵守
事業活動に関わる法令などの遵守は、米国SOX法で示されているコーポレートガバナンスの基本原理の1つでもある、 コンプライアンスとほぼ同義であり、ビジネスコンプライアンスとも呼ばれます。
その意味は、『社会秩序を乱す行動や社会から非難される行動をしないこと』であり、具体的には、法律や規則といった法令を守るだけでなく、 社会的規範や企業倫理、企業が独自に設けたマニュアルといったものを守ることまでも含まれます。
企業が目先の利益追求にばかり目を向け、法令遵守をないがしろにした場合、上場廃止や最悪時には経営の破綻を招いてしまいます。
そのため、重要なことは、仕組みだけではなく経営者が自ら率先して、法令などを遵守する姿勢を示す事です。
そして、遵守すべき法令、ルール、規範などを研修・教育・勉強会という方法で社員に認識を持たせ、徹底させる必要があります。
また、人間は元々、弱い存在だと考える「性弱説」に基づき、社員に、「悪いことをしたらすぐばれる」 「権限と責任以上のデータを扱えない」「適正な報酬とやりがいを意識した企業文化である」という認識をもたせ、企業全体で法令遵守する風土を持つことも大切な要素となります。
目的4 : 資産の保全
企業は、株主からの出資金や銀行からの借入金で資産を購入し、これらの資産を活用することによって事業活動を行い、利益を生み出します。 すなわち、資産は会社の利益の源と考えて良いでしょう。
資産には、目に見えるような物だけではなく、アイデアやノウハウ、営業秘密、特許のような知的財産と呼ばれるような資産も存在します。 社員でさえも「人財」として例えられる重要な資産です。
そのため、企業が、
- 資産を取得(入手・採用)する
- 資産を利用(運用・異動)する
- 資産を処分(廃棄・離職)する
という過程に対して、適切な手続きや承認の仕組みを整備し、運用されていくことが資産の保全を確保するために必要なこととなります。
すべての資産を、適正管理・有効活用することは、企業の競争力を高め、利益を最大限に上げるために必要不可欠の要素となります。