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内部統制の評価と監査

内部統制の監査

内部統制監査の目的

日本版SOX法では、財務報告に関わる内部統制が有効であるかを経営者自らが評価し、その結果をもって「内部統制報告書」を作成します。そして、経営者の評価結果が適正であるか、公認会計士等の外部監査人による監査を受けなければなりません。

日本版SOX法のもとになった「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準のあり方について」では財務諸表監査の監査人による内部統制監査の目的を次のように定義しています。

「経営者の作成した内部統制報告書が、一般に公正妥当と認められる内部統制の評価の基準に準拠して、内部統制の有効性の評価結果をすべての重要な点において適正に表示しているかどうかについて、監査人自らが入手した監査準拠に基づいて判断した結果を意見として表明することにある」

経営者自らが評価し作成した「内部統制報告書」の内容を、財務諸表を監査する監査人が、信用できるかどうかの意見を述べるという内容となります。

内部統制監査の実施

内部統制監査を実施するのは、財務諸表の監査を実施する監査人(同一人物)で、財務諸表の監査と内部統制の監査を一体として実施することが求められています。

また、米国SOX法では、外部監査人が内部統制の有効性を評価するダイレクトリポーティングを採用していますが、日本版SOX法では、経営者による内部統制の評価結果を監査することに留まっています。

これは、監査人の負担、企業の負担を軽減するために採用された日本独自の仕組みとなっています。

内部統制の監査は、まず、内部統制の評価範囲が適正であるかを検討します。
経営者が評価の一部を評価範囲から除外した場合も、除外した理由が合理的であるか財務諸表監査への影響を含めて検討されます。

次に、経営者による全社的な内部統制の評価、各業務プロセスに関する内部統制の評価の順に妥当性を検討します。
経営者が評価した統制上の要点は、「質問」「観察」「記録確認」「文書確認」などを通じて、監査証拠を入手する必要があります。

また、業務プロセスにおける内部統制の基本的要素が機能しているかも判断されます。

最期に、監査の結果、重要な欠陥を発見した場合は、経営者に報告し是正を求めると共に、是正状況を適時に評価します。また、監査人は、重要な欠陥の内容とその是正結果を取締役会、監査役または監査委員会に報告する必要があります。

内部統制監査報告書の作成

監査人は、自ら収集した監査証拠を用いて、経営者が作成した「内部統制報告書」に記載された財務報告に関わる内部統制の有効性の評価結果に対して、それが信用できるものであるかについて、「内部統制監査報告書」を作成します。

監査結果は、「無限定適正意見」「除外事項を付した限定付適正意見」「不適正意見」「意見不表明」の4つにケースから当てはめられ、その理由が付記されます。

内部統制報告書の内容が適正である場合は、「無限定適正意見」となります。